6戦で勝者6人。大激戦のフォーミュラE

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4月4日に行われたFIAフォーミュラE第6戦ロングビーチePrix。優勝はチャイナ・レーシングのネルソン・ピケJr.。彼にとればフォーミュラE初勝利だが、特別な意味合いの勝利でもあった。実は35年前のロングビーチ(アメリカ西GP)で父親のネルソン・ピケがF1初勝利を飾った場所なのだ。

 コースはかつてのF1、現在はインディカーレースで使用するコースを短縮した1周2.131km。このコースを39周、83.1kmで争う。コースはモディファイされているとはいえ、有名なショアドライブ等のストレートはそのまま使用され、EVのフォーミュラEにはややきついコースと言えた。予選はまだしも、多くの周回数をこなさなければならない決勝レースでは、バッテリーのマネージメント次第でスピード、タイムに影響が現れる。

「バッテリーの使い方がキーになるが、長くても20周持てばいいから、それほど苦にはならない」とは、ドラゴン・レーシングのロイック・デュバル。

 予選で最速タイムを出したのはe.ダムス・ルノーのセバスチャン・ブエミ。タイムは56秒853。しかし、彼は規定された以上にエネルギーを使用していたことが判明して、ベストタイムは無効に。2番目に速いタイムが生きて、結局10番手のグリッドに降格になった。これでポールポジションはアウディ・アプトのダニエル・アプトの手に。タイムは56秒937。彼に続くのはニコラス・プロストの56秒944、ピケJr.の56秒974、ルーカス・ディ・グラッシの57秒083……とにかく大接近戦の予選だった。

決勝レースは午後4時にスタートを切ったが、2列目からスタートしたピケJr.が、1周目にアプト、プロストをかわしてトップに立ち、その後のレースをコントロールすることになった。しかし、予選タイムが接近しているということは、レースも接近戦になるということ。それが証拠に序盤は接触、クラッシュが連続して発生。2度にわたってセーフティカーが導入された。1度目はスコット・スピードのクラッシュ。2度目はシャルル・ピックにぶつけられたヤルノ・トゥルーリのクラッシュ……。こうしたトラブルに見舞われないためには、スタートで集団から抜け出しておくことが肝心だ。

 19周目、クルマの乗り換えが行われた。その時の順位はピケJr.、アプト、ジャン-エリック・ベルニュ、ディ・グラッシ、ブエミ、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ……。ピケはトップで逃げたが、2番手のアプト以下はテールトゥノーズの接近レースだ。

 20周目には大方のドライバーがクルマの交換を終えた。順位に大幅な変化はなく、ピケJr.のトップ快走が続くが、レースが残り8周になった時点で2番手を走るアプトにドライブスルーのペナルティが出た。こちらも規定以上のパワー使用が理由だ。ロングビーチのピットレーンは長いだけに、アプトのロスタイムは非常に大きく、レースに復帰したときには15番手に転落していた。その翌周にはプロストもピットへ入り14番手に後退、39周レースが終了した時には、ふたりともトップから1分近く遅れていた。

結果、優勝は前述した通りピケJr.。2位にベルニュ、3位にディ・グラッシが入った。優勝会見でピケJr.はこんな話を聞かせてくれた。

「ここに来る前、オヤジからクイーンメリー号(ロングビーチに係留されている、現在はホテルとして活用されている元豪華客船)は巨大で美しい船だから写真を撮ってきてくれと言われた。35年前の想い出があるんだろうけど、なんてったって35年前だから……。僕のレースのことは何も言ってくれなかった」

 6戦が終了し、6番目の勝者になったネルソン・ピケJr.。フォーミュラEの激戦振りが伝わって来る。